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70年代:黎明の時代
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70年代:黎明の時代

自作ゲームの歴史はコンピュータの歴史と切っても切り離せない。

遡ること二百年近く前、英国のチャールズ・バベッジ卿は「階差機関」というコンピュータの原型になるアイディアを発表した。その後、彼はコンピュータの概念を使えば、チェスや三目並べで機械と人間が対戦ができると気づく。三目並べのマシンについては開発に成功していたという話もある。

そして約百数十年後の1960年代、大学にコンピュータが入ると、すぐに学生たちは科学研究の合間にゲームを自作し始め、RPGやシューティングの原型となるゲームを生み出した。例えば、世界初の対戦型シューティングゲーム「Spacewar!」は、MITの学生たちの自作ゲームだ。コンピュータを手にして、ついついゲームを自作してしまう人間は、いつの時代にもいたのだ。

このコンピューターゲームの魅力に、企業も目をつける。黎明期のゲーム産業を牽引した米国のアタリ社は、「Spacewar!」に感動したノーラン・ブッシュネルが作った会社だった。1970年代の半ばに入ると、日本でもタイトーやセガのようなジュークボックスを扱う企業や、任天堂やエポック社のような玩具業者が、次々にコンピューターゲームの商業化へと乗り出していく。

1970年代の後半に入ると、インベーダーゲームの大流行などで、日本のコンピューターゲーム人口は一気に増えていく。この時期から任天堂やエポック社などの玩具業者や大手家電メーカーは、家庭用テレビゲーム機の販売を開始する。しかし、自作ゲームの歴史で重要なのは、パソコンの登場である。70年代後半には、元アタリ社のスティーブ・ジョブズたちが率いるApple社の「AppleII」など、また日本ではNECの「PC-8001」などのパソコンが、一般家庭にも入り込み始める。

すると、それを手にした人々も、やはりバベッジやMITの学生のようにゲームを作るのを思いつく。元祖RPG「ウルティマ」の元になった「アカラベース」は、当時19歳だったリチャード・ギャリオットが勤務先のパソコンショップで販売した自作ゲームだった。後にアーケードゲームになった「平安京エイリアン」は、元々は東京大学のサークルの学生たちが自作したパソコンゲームだった。こうした最初にパソコンを手にしてゲームの自作を始めた人々の中から、後のゲーム産業の伝説的な名作群が生み出されていく。

重要な出来事

1822年6月「階差機関」(チャールズ・バベッジ卿)発表

自作ゲームの公開日

1840年代「TicTacToo(三目並べ)の機械」チャールズ・バベッジ卿
※制作したものの商業化は断念したと伝えられている

1962年5月「SPACE WAR!」スティーブ・ラッセル ※世界初の対戦型シューティングゲーム

1970年7月「ゼロックス・パロアルト研究所」設立

1971年「STAR TREK」マイク・メイ・フィールド

1971年「Maze War」スティーブ・コリー(その後、複数人が改修) ※世界初のFPS

1974年12月世界初の商業パソコン「アルテア8800」発売

1974年「Spasim」Jim Bowery ※ネットワーク対応の3Dマルチプレイヤーシューティング

1975年「pedit5」Rusty Rutherford ※最初のダンジョン探索RPG(公開後すぐに削除された「m199h」の方が早いとの説もある)

1975年「dnd」Gary Whisenhunt、Ray Wood ※ボスを実装したRPG

1976年8月国産ワンボードマイコンブームの火付け役「TK-80」(NEC)発売

1976年9月秋葉原のラジオ会館に「Bit-iNN」(NEC)設立

1976年10日本初のマイコン専門雑誌「I/O」(日本マイクロコンピュータ連盟)創刊 ※後に工学社発行となる。創刊時の編集人は西和彦

1977年6月「Apple II」(Apple)発売

1978年9月国内大手電機メーカー製で初の20万円以下の8ビットパソコン「ベーシックマスター」(日立)発売

1978年12月「MZ-80K」(シャープ)発売 ※一部組み立て・ハンダづけが必要で、キット扱いでの販売だった

1976年「コロッサル・ケーブ・アドベンチャー」ウィル・クラウザー(ドン・ウッズ改修の「アドベンチャー」が有名) ※アドベンチャーゲームというジャンル名の由来と言われる

1979年9月「PC-8001」(NEC)発売

1979年「アカラベース」リチャード・ギャリオット・ド・ケイユ ※「ウルティマ」の元になった作品

1979年「平安京エイリアン」東京大学の理論科学グループ(略称:TSG)※電気音響株式会社よりアーケード版がリリース

80年代:伝説の時代
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80年代:伝説の時代

ここからは国内の自作ゲーム市場に絞った年表となる。

国産のパソコンが家庭に入ってきたことにより、日本の投稿雑誌の文化とパソコン文化が出くわした。「I/O」や「マイコンBASICマガジン」などのパソコン雑誌で、ゲームプログラムの投稿が誌面を賑わしたのだ。当時は毎月数百もの自作ゲームが投稿されたと言われており、その中から登場したのが芸夢狂人、中村光一、森田和郎、森巧尚などのスタープログラマーと呼ばれる人々である。

この頃、パソコンゲームにおいては自作と商業の境界線は曖昧で、雑誌に投稿した自作ゲームが、商業化されるのも珍しくはなかった。そもそもパソコンソフト自体が、まだ手探りの部分が多く、無いものはユーザーが作る時代だった。ハドソンなどの後の大企業も、パソコン向けのソフトウェアハウスとして産声を上げたばかりで、そうした企業では、パソコン少年上がりのおたくたちが活躍していた。

この状況が大きく動いたのは、1983年に玩具業界の任天堂が送り出した家庭用ゲーム機「ファミリーコンピュータ」の登場だった。アーケード業界のコナミやタイトー、ハドソンなどのパソコンのソフトハウスをサードパーティに迎え、ファミコンは80年代の後半にかけて一気に勢力を増していく。また、その前年にエニックスは「ゲーム・ホビープログラムコンテスト」を主催。「月刊アスキー」や「I/O」の有名投稿者だった森田和郎、中村光一が入賞する。彼らもまたその後、企業を設立して商業ゲームに参入した。特に中村光一はチュンソフト起業後に、同コンテストに入選したライター堀井雄二とともにファミコンで「ドラゴンクエスト」シリーズを生み出している。

一方でパソコンゲームの方は、1985年のPC-88におけるFM音源搭載のSRシリーズ登場で爛熟期に入る。しかし、芸夢狂人のように、開発が高度化してチーム制作になる中で撤退するクリエイターも登場した。そうした中で、パソコン雑誌「LOGiN」編集部は1986年から、ツクールシリーズを開発。誌面にツクール製のゲームが載るようになり、それらの一部は「ソフトベンダーTAKERU」というパソコンソフトの自動販売機で発売された。また、1989年には著名なゲーム評論サークルだった制作者たちが、ファミコンソフトの開発環境から構築して「クインティ」という作品を自作した。彼らこそが、後に「ポケットモンスター」を世に送り出したゲームフリークである。

だが、パソコンゲームの文化そのものが、徐々にファミコンの隆盛で時代から取り残されいく。ファミコンでの販売が厳しいエロゲーなどのジャンルがパソコンで台頭したのもこの時期からだった。趨勢としては、自作ゲームが商業化される流れは失われていったのである。

重要な出来事

1981年12月「PC-8801」(NEC)発売

自作ゲームの公開日

1980「Rogue」Michael Toy、Glenn Wichman ※テキストで視覚的にダンジョンを表現したRPG

1981年3月「ルナシティSOS」芸夢狂人(「I/O 1981年4月号」発表)

1981年9月「SPACE MOUSE」芸夢狂人(「I/O 1981年10月号」発表)

1982年5月アスキー別冊「LOGiN」(アスキー出版)が創刊

1982年6月「マイコンBASICマガジン」(電波新聞社)創刊

1982年7月ホビーパソコン「MZ-1200」(シャープ)発売

1982年8月16ビットゲームパソコン「ぴゅう太」(トミー、現:タカラトミー)発売

1982年10パソコンを扱った漫画「こんにちはマイコン」(すがやみつる)発表

1982年11月「MZ-700」(シャープ)発売

1982年「第1回ゲーム・ホビープログラムコンテスト」(エニックス)開催

1982年3月「表参道アドベンチャー」高橋直穂、秋山秀樹 ※「月刊アスキー」のエイプリルフール企画

1982年6月「MARINE BELT」今風太(「I/O 1982年7月号」発表)

1982年7月「てっぽううおくん」高橋はるみ ※「PC-8001はるみのゲーム・ライブラリー」収録

1983年7月ゲームパソコン「SC-3000」(セガ・エンタープライゼス、現:セガ)発売

1983年7月「ファミリーコンピュータ」(任天堂)発売

1983年10「MSX」(米マイクロソフトとアスキーによる共通規格)準拠のホームパソコンの発売が始まる

1983年10パソコン雑誌「I/O」別冊として「PiO」(工学社)創刊 ※プログラムの投稿に特化

1983年「ドアドア」中村光一 ※エニックス主催「第1回ゲーム・ホビープログラムコンテスト」優秀プログラム賞

1983年「森田のバトルフィールド」森田和郎 ※エニックス主催「第1回ゲーム・ホビープログラムコンテスト」最優秀プログラム賞

1983年「ラブマッチテニス」堀井雄二 ※エニックス主催「第1回ゲーム・ホビープログラムコンテスト」入選プログラム賞

1984年2月パソコン雑誌「テクノポリス」増刊として「プログラムポシェット」(徳間書店)創刊 ※プログラムの投稿に特化

1984年6月「ファミリーベーシック」(任天堂)発売

1985年1月ホビー志向を打ち出した「PC-8801mkII SR」(NEC)発売

1985年4月電気通信事業法が施行。これをきっかけにパソコン通信が話題を呼ぶ

1986年5月「ドラゴンクエスト」(エニックス、現:スクウェア・エニックス)

1986年12月「アドベンチャーツクール」(アスキー)(「LOGiN 1月号」発表)

1987年3月「X68000」(シャープ)発売

1987年3月「ウィザードリィ」風3DRPG作成ソフト「ダンジョン万次郎」(「LOGiN 4月号」発表)

1987年7月「アドベンチャーツクールmkII」(アスキー)

1987年10フィールド型RPG作成ソフト「まみりん」高橋ピョン太(アスキー)発売

1988年5月「ヨコスカウォーズ」(アスキー)

1988年5月「電脳倶楽部」創刊 ※自作ゲームやイラストなど投稿を受け付けていたディスクマガジン

1988年6月「吉田工務店」(アスキー)

1988年7月「パソケット1」(ユウユウ、現:スタジオYOU)開催 ※同人ゲームに特化した即売会

1984年8月「人魚の涙」帝国ソフト ※C26にて頒布。同人ゲームを名乗った最初のソフトと言われる

1984年10「LotLotLot」YUKI♡(「プログラムポシェットVol.4」発表) ※後にアイレムからアーケード化

1984年「ボコスカウォーズ」ラショウ  ※第1回アスキーソフトウェアコンテストグランプリ

1985年4月「ザ・キャッスル」吉田功 ※第2回アスキーソフトウェアコンテストグランプリ

1985年11月「大戦略」システムソフト ※第1作は個人の自作の持ち込みの商業化

1985年8月「魔法使いの妹子」帝国ソフト ※C28にて頒布。後に九十九電機(ツクモ)から商業化

1986年「まじゃべんちゃー・ねぎ麻雀」ONION software(テクノポリスソフト) ※同人で流通していた作品の商品化

1989年2月株式会社ベクター創業

1989年5月「吉田建設」(アスキー)

1988年3月「N-TYPE」Bug太郎(「マイコンBASICマガジン 1988年4月号」発表)

1989年6月「クインティ」ゲームフリーク(ナムコ)※ファミコンソフトを自作してナムコに持ち込み、商業化

1989年8月「琉球」桑木隆治 ※第3回LOGiNコンテスト準堀井賞

90年代:分裂の時代
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90年代:分裂の時代

90年代は、スーパーファミコンの発売とともに始まった。商業ゲームの開発は一気にリッチ化、開発費も数千万円台へと上昇して、商業と自作の壁はいよいよ厚くなった。一方で、パソコン黎明期の世代のクリエイターたちは、キャリアの黄金期に突入する。FFシリーズなどのRPGや、「かまいたちの夜」のような物語性の高いゲームが次々に生み出され、ゲーム表現の可能性は押し広げられた。ゲームクリエイターという言葉が生まれ、コンピューターゲームは単なる遊戯に留まらない存在となった。

そして、94年にはPlayStationが発売、96年には「FINAL FANTASY VII」がその圧倒的な表現力でゲームの新しい時代の到来を告げた。一方で開発費はますます高騰し、ゲーム業界は企業でさえ新規参入が難しくなった。

そんな90年代の自作ゲームはどうだったのか。例えば、SCEが開始したオーディション「ゲームやろうぜ!」は、合格したクリエイターを丁寧に育成。「サルゲッチュ」などの作品が生み出された。

現在の自作ゲームに繋がる流れもあった。一つは、80年代から続く雑誌投稿の文化である。この時期、NECのPC-98シリーズに向けて、アスキーは「Dante98」などのツクールを提供する。「LOGiN」誌面で優秀作品が紹介され、商業とは一線を画した個性を競い合う文化が投稿欄に花開いた。しかし、90年代後半に入って雑誌の衰退とともに失速する。

代わりに台頭したのが、ネットとコミケでの自作ゲームの公開である。80年代の開始当初から、パソコン通信でゲームを配布する人はおり、その数は増える一方だった。90年代前半にはBio_100%が登場し、「SuperDepth」などのゲームが人気を博す。さらにWindows 95登場後の90年代後半には、Vectorなどのダウンロードサイトやシェアウェアが台頭、徐々にインターネット上でゲームを公開する文化が華開き、ここで評価を得たゲームはしばしば雑誌の付録に収録された。さらにシミュレーションゲーム制作ツール「SRC」や格闘ゲーム制作ツール「M.U.G.E.N」などのツールも、次々に登場。ここからは「ブギーポップ・クロスロード」(SRC)など、様々な元ネタをミックスするMADにも似た発想の作品が生まれてきた。

一方でコミケでは、90年代後半に入って二次創作ゲームが熱気を帯びていく。特に、人気の美少女ゲームの二次創作「葉鍵系」は一大ジャンルとなり、そこから渡辺製作所の格闘ゲーム「THE QUEEN OF HEART」などのヒットも生まれた。同人ショップの台頭で販路が拡大しはじめたのも、この時期である。こうした動きが、2000年代における同人ゲームの隆盛につながっていく。

重要な出来事

1990年1月「RPGコンストラクションツール Dante」(アスキー)(以下、ツクールは全て販売はアスキー及び、2000年よりエンターブレイン) ※初代RPGツクール

1990年5月「メッセサンオー」開店 ※2012年1月に閉店、同人ゲームの店舗販売のパイオニアだった

1990年6月「吉田コンツェルン」(アスキー)

1990年11月「スーパーファミコン」(任天堂)発売

自作ゲームの公開日

1991年9月「絵描衛門(デザエモン)」(アテナ)

1991年「RPGツクール チャイムズクエスト」 ※開発はチャイム

1991年「バカスカウォーズ」 ※シューティングゲーム制作ツクール

1992年1月「アクションRPGコンストラクションツール Dante 2」

1992年3月「弟切草」チュンソフト(現:スパイク・チュンソフト) ※サウンドノベルの第一作。ホラー要素やノベルゲームなど、後年の自作ゲームに多大な影響

1992年12月「PC-9801版 Bio_100% フリーゲームコレクション」(アスキー)出版

1992年12月「RPGツクールDANTE98」

1991年8月「SuperDepth」Bio_100

1991年「T-DRAGON QUEST」田圃製作所  ※ドラクエのクローンゲーム。パソコン通信で人気に

1994年9月「シューティングツクール98」

1994年12月「PlayStation」(ソニー・コンピュータエンタテインメント)発売

1994年「Login Sofcom」(アスキー)創刊

1994年自作ゲームのコンテスト「コンテストパーク」(アスキー)開始

1993年「焦風~奥の細道~」加藤清志(RPGツクール チャイムズクエスト)

1994年「DarkForce」井上光(RPGツクールDANTE98)

1995年3月「RPGツクール」(スーパーファミコン版)(エンターブレイン)

1995年4月「アスキー エンタテインメント ソフトウェア コンテスト」開始

1995年9月「DirectX」(マイクロソフト)公開

1995年11月日本版「Windows 95」(マイクロソフト)発売

1995年クリエイター発掘オーディション「ゲームやろうぜ!夏」(ソニー・コンピューターエンターテイメント)開催 ※合格者が後に「どこでもいっしょ」「サルゲッチュ」「XI」などを開発

1995年4月「クック・ドゥ・ドゥル・ドゥー」中西白夜(RPGツクール SUPER DANTE) ※第1回 アスキー エンタテインメント ソフトウェア コンテスト(Aコン)のグランプリ。作者の16歳という年齢や、賞金1千万円も話題に

1995年8月「東方靈異伝」Amusement Makers(1996年 東京電機大学理工学部鳩山祭発表) ※C52にて頒布。東方Project第一弾

1995年「超連射68K」ファミベのよっしん

1995年「サバトの女王」KEDWIN  ※「コープスパーティ」作者が一躍有名になった作品

1995年「ぬいぐるず」よねやまひでき(RPGツクールDANTE98)※その後、1996年に第2回Aコン ゲームツクール部門 敢闘賞

1995年「霞ヶ関」作者不詳 ※「地下鉄サリン事件」を茶化した内容が物議をかもし、ニュースで取り上げられた。こうした自作ゲームは「不謹慎ゲーム」と呼ばれ、有名事件のたびに制作されている

1996年1月「雫」(Leaf) ※チュンソフトのサウンドノベルの影響を受け「ビジュアルノベル」を名乗ったエロゲー。美少女ゲームにおけるノベルゲームのさきがけのひとつ

1996年7月「RPGツクールDANTE98II」

1996年10「ネットやろうぜ!(DTLH-3000)」(ソニー・コンピュータエンタテインメント) ※一般層向けのPlayStation開発キット

1996年「Unreal Engine(アンリアルエンジン)」公開

1996年「Hot Soup Processor」おにたま

1997年2月「WinGL」(戀塚昭彦、alty)公開

1997年3月「RPGツクール95」

1997年5月「インターネットコンテストパーク」(アスキー)開始 ※「Login Sofcom」休刊に伴い、Web上で開始

1997年11月「RPGツクール3」

1997年12月「beatmania」(コナミ)

1997年「Simulation RPG Construction シナリオグランプリ」開催

1997年「Login Sofcom」休刊

1996年4月「コープスパーティー」KENIXSOFT、チームグリグリ(RPGツクールDANTE98) ※「LOGIN Sofcom」にて発表後、第2回 Aコンの最優秀賞

1996年12月「ゲーム発展途上国」カイロソフト ※TechWinデジタルアイアンマン1996年12号収録

1996年「LOST SHEEP」カンチ(RPGツクールDANTE98) ※第2回 Aコンの最優秀賞

1996年「まおうさたんのえにっき」マモル(RPGツクール2)※第2回 Aコンの最優秀賞。賞金500万円の制作者が小学生で話題に

1997年10「梓 999」曽我部一郎(RPGツクールDANTE98) ※インターネットコンテストパーク(コンパク)月間受賞

1997年「Lost Memory」Child-Dream(RPGツクール95) ※RPGツクール作品でシェアウェア販売された最初期のゲーム

1998年6月「ゲームベーシック for セガサターン」ビッツラボラトリー

1998年8月「cardwirth(ゲーム製作ツールとして)」

1998年9月「シミュレーションRPGツクール」ASCII

1998年「BM98」やねうらお ※フリーの音楽ゲーム制作ツール

1998年3月「猫の森のトラ吉」祁答院 慎(RPGツクール95) ※「RPGツクール95」のサンプルゲーム

1998年8月「THE QUEEN OF HEART」渡辺製作所 ※C54で頒布

1998年8月「囚人へのぺル・エム・フル」芹瀬 眞人(RPGツクールDANTE98II) ※コンパク 月間プラチナ賞

1998年8月「CardWirth」groupAsk

1998年「BOOBY SHOW」窪田 博之(RPGツクール3) ※第3回Aコンで準グランプリ賞

1998年「落雀」 佐野直紀/アスキー ※第3回Aコン パーソナルコンピューター作品賞。2000年4月にデジキューブからWindows(コンビニ版)発売。その他PSなど移植多数

1999年6月「吉里吉里」W.Dee

1999年7月「M.U.G.E.N(DOS版)」Elecbyte(エレクバイト) ※フリーの格闘ゲーム制作ツール

1999年9月「Simulation RPG Construction シナリオグランプリ」が開催

1999年「NScripter」高橋直樹

1999年4月「ときめきメロディー」H&Kサファリパーク(RPGツクール95) ※コンパク 月間賞銅賞

1999年5月「スターダンス」アンディーメンテ ※中心人物は小説家の泉和良(ジェバンニP)

1999年10「Moon Whistle」神無月サスケ(RPGツクール95) ※コンパク月間賞金賞

1999年12月「神威」SITER SKAIN ※C57で頒布。Aコン第2回にて元になる作品「ALLTYNEX」が敢闘賞

1999年「パレット」西田好孝(RPGツクール95) ※第4回Aコンのグランプリ。2001年4月に「Forget me not -パレット-」としてプレイステーションで発売

1999年「Infunny」平岡 丈司(2D格闘ツクール95) ※第4回Aコンのアスキーツクール作品賞

1999年「イディナローク」Namikaze Project  ※Direct3D 対応の縦スクロール3D シューティング

1999年「AMEL BROAT」Shou(河合章悟)

1999年「ファーレントゥーガ」あとあと

00年代:爆発の時代
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00年代:爆発の時代

PlayStation2が発売された2000年、自作ゲームの歴史にとって重要なニつの出来事があった。

一つ目は、コミケでTYPE-MOONが「月姫」を頒布したことである。この時期から同人ノベルゲームが盛り上がる中で、「月姫」は象徴的な存在になる。さらに2002年にはTYPE-MOONと渡辺製作所がコラボで「MELTY BLOOD」を発売、上海アリス幻樂団の東方ProjectもWindowsに移行して、4年ぶりに「東方紅魔郷」で復活した。その後、東方は二次創作の巨大ジャンルとなっていく。竜騎士07が「ひぐらしのなく頃に」第1作を発表したのも、この年である。この「ひぐらし」のように同人から商業化される事例も次々に生まれていった。この時期から徐々に頒布されるゲームもリッチ化・大作化が進行した。背景には同人ショップのソフト流通の拡大と、Windowsの開発環境の整備がある。初心者に易しいゲーム開発用ライブラリ「DXライブラリ」が登場するなど、Windowsでリッチなゲームを開発する環境が整ったのだ。

二つ目は、「RPGツクール2000」の登場である。このツールは息の長い人気を得て、「シルフェイド幻想譚」や「タオルケットをもう一度」など、数々の名作フリーゲームを生み出した。その最初期の盛り上がりを大きく支えたのが、「Login Sofcom」を引き継ぎウェブ上で毎月受賞作を発表した「インターネットコンテストパーク」である。しかし、2002年に突如として終了、雑誌「TECH Win」に引き継がれる。勢いづき始めたネットのフリーゲーム文化における事件だったが、2chの紹介スレやニュースサイトで口コミの情報が回り始めた時期でもあった。その後、ふりーむ!やVectorなどのダウンロードサイトにフリーゲームの中心地は移行していく。

一方で、ネットからは新しい作り手たちも登場した。Flashはブラウザ上で再生できる手軽さが人気を呼び、TAKAGISMの脱出ゲーム「クリムゾンルーム」や2chのAAを使ったゲームなどが現れた。また、ネットでも二次創作文化が盛り上がる。M.U.G.E.NやSRC、BM98などのフリーのゲーム制作ツールが隆盛。素材を公開して共有する文化が生まれた。ユーザー主催のコンテストも盛んになり、M.U.G.E.NやBMSは定期的に大会が開かれた。オリジナル作品も、3分ゲーコンテストやVIPPER紅白などが開催された。

しかし、00年代の後半になると、ニコニコ動画の登場などでパソコンの創作ジャンルは一気に幅が広がる。かつては自作ゲームの周辺にいて、現在はMMDやアイマス動画の投稿をメインに遊ぶ人も決して少なくない。だが、一見して地味なこの時期に、SmokingWOLFの「WOLF RPGエディター」公開や、RPGツクールXP以降のスクリプトの素材屋の登場など、自作ゲームの10年代の流れは準備されていた。

重要な出来事

2000年2月無料ゲームダウンロードサイト「ふりーむ!」開始 ※当初は個人HP

2000年3月「PlayStation2」(SCE)発売

2000年4月「RPGツクール2000

2000年7月「ワンダーウィッチ」(キュート)

2000年9月「フリーソフト超激辛ゲームレビュー」開始

2000「タッグでツクールコンテスト」開催

2000「アスキー エンタテインメント ソフトウェア コンテスト」終了

自作ゲームの公開日

2000年10「へっぽこ二人組みの何でも屋セロリー」ヘルメス(RPGツクール2000) ※ギャグゲーというジャンルを成立させた作品

2000年11月「ときどきメモリアルバウト」ドラ藤本(2D格闘ツクール95)

2000年12月「月姫」TYPE-MOON ※C59にて頒布

2000「1999christmasEve」1999ChristmasEve Project ※「かまいたちの夜」の二次創作ゲーム

2000「ハーバーランドでつかまえて」JAM

2001年3月「WWGP2001」開催 ※グランプリ「JUDGEMENT SILVERSWORD」作者:M-KAI

2001年4月「AVARIS」StudioGIW ※雑誌のCD付録で有名になった2D戦略シミュレーションゲーム

2001年5月「DXライブラリ」 山田巧

2001年「フリーゲーム夢現」開始

2001年フリーの効果音素材サイト「ザ・マッチメイカァズ」開始

2001年「フリーゲーム大賞」(フリーゲーム夢現)開催

2001年「シルフェイド見聞録」SmokingWOLF(RPGツクール2000)※2001年4月連載開始 FREE GAME AWORDS 2003 グランプリ

2001年「ブギーポップ・クロスロード」坪川琴生(SRC)

2002年6月「インターネットコンテストパーク」終了 ※雑誌「TECH Win」に移行して2006年まで続く

2002年12月「RPGツクール2003・RPGツクールα」

2002年2月「旋風仮面」リィ(RPGツクール2000) ※コンパク 月間金賞

2002年4月「今の風を感じて 」アルファナッツ(RPGツクール2000)※コンパク 月間金賞

2002年5月「偽りの神話」d-saka(RPGツクール2000)※コンパク 月間金賞

2002年8月「星合いの空」Earth Well ※C62にて頒布

2002年8月「東方紅魔郷」上海アリス幻樂団 ※C62にて頒布

2002年8月「ひぐらしのなく頃に」07th Expansion(NScripter)※C62にて頒布

2002年12月「MELTY BLOOD」TYPE-MOON、渡辺製作所(NAOMI)※C63にて頒布

2002年「RAY-KUDRYAVKA X」しろくま屋 ※中心人物のlsは偽春菜で有名な伺かの作者

2002年「仮面ライダーヴァルゴ」みゆき(SRC)

2002年「盗人講座」中西 亘(RPGツクール2000) ※第5回エンターブレインゲームコンテスト コンストラクションソフト作品部門入賞

2002年「リーフ村村長物語」知内ひろ(RPGツクール2000

2002年「ネフェシエル-Nepheshel 」Studio Til(RPGツクール2000

2003年3月「yaneuraoGameSDK3rd」やねうらお

2003年9月「Steam」(Valve Corporation)開始

2003年2月「魁!!男塾」ダン(岩本三四郎)(2D格闘ツクール2ND.) ※作者の宮下あきらに公認を取りつけて話題を呼んだ

2003年4月「ラブレジェンド」こじ(RPGツクール2000

2003年12月「花帰葬」HaccaWorks* ※C65にて頒布 PS2で発売された女性向けゲーム

2003年12月「CYBER GRANDPRIX」PROJECT YNP ※ C65にて頒布。「サイバーフォーミュラ」(サンライズ)の同人レースゲーム。発売中止後に正式版権タイトルに

2003年12月「2D 格闘ツクラーズ ゴールドメンバー」R.C、GASSYU、Scaramanga、居瑞くらーど、ドラ藤本、デビルアニキ、夢幻台(2D格闘ツクール2ND.) ※コンパク受賞経験者が合作した格闘ゲーム

2003年「夜明けの口笛吹き」奥山キイチ(kiichi、なんとかP)(RPGツクール2000

2003年「B.B.ライダー」ゴリッチュ(RPGツクール2003)

2004年1月「3分ゲーコンテスト」(ツクール新聞)開催

2004年7月「RPGツクールXP」

2004年8月「THE BMS OF FIGHTERS」開催

2004年3月「ひよこ侍」vivid calm(RPGツクール2000 RTP) ※「ゲーム甲子園」6月月間優秀作品、及びコンストラクションツール部門賞

2004年4月「TUMIKI FIGHTERS」長 健太 ※Majescoから発売

2004年4月「レミュオールの錬金術師」犬と猫(NScripter))※OtomuraSoftと毎日コミュニケーションズ(DS)から発売

2004年4月「CRIMSON ROOM」高木敏光(Flash)

2004年6月「ゆめにっき」ききやま( RPGツクール2003)※2013年8月にakira&PHP研究所から小説化

2004年8月「RomancingKanon」はちみつくまさん ※C66にて頒布

2004年11月「人狼奇譚~そしてぼくらは蒼い夜のうたをきく~」GIFTLESS(颯仁工房) ※COMITIA70にて頒布

2004年11月「洞窟物語」開発室Pixel (天谷 大輔)

2004年12月「東方萃夢想」黄昏フロンティア ※C67にて完成版を頒布

2004年「アニメ店長 バトルライブ」全力亭(2D格闘ツクール2ND.) ※声優に関智一、子安武人らを起用

2004年「Seraphic Blue」天ぷら (RPGツクール2000

2004年「アレックス物語」SPA! (RPGツクール2000)※第1回3分ゲーコンテスト優勝

2004年「Every Extend」( ゜ワ゜)ノ ※第2回3分ゲーコンテスト優勝。バンダイから発売

2004年「黒魔剣士アース3min-幻の少女-」タクミ (RPGツクール2003)※第3回3分ゲーコンテスト優勝

2004年「弾幕姉妹」心太(ところてん)  ※「マリア様がみてる」の二次創作ゲーム

2004年「SAZAE-A Orgasmus (SAZAE-A2)」68銀行 ※「サザエさん」の二次創作ゲーム

2005年5月「おすすめ同人紹介」開始

2005年5月「脳を鍛える大人のDSトレーニング」(任天堂)

2005年7月「みんなのふりーむ!ゲームコンテスト」開始

2005年12月「Xbox360」(マイクロソフト)発売

2005年「Unity」(ユニティ・テクノロジーズ)公開

2005年「VIPRPG紅白」開催 ※その後、毎年主催者を変えて続行

2005年「ゲーム甲子園 2005」開催

2005年「ツクール魂2005」開催

2006年11月「PlayStation3」(SCE)発売

2006年12月「Microsoft XNA」(マイクロソフト)※2014年4月に終了、PCとXbox 360のツール+ライブラリ

2006年12月「Wii」(任天堂)発売

2006年「コンテストパーク web」開始

2006年「ゲーム甲子園 2006」開催

2007年1月「iPhone」(Apple)発売

2007年2月「ひぐらしのなく頃に」07th Expansion(NScripter)が商業ゲーム化

2007年5月「ゆめにっき」のプレイ動画がニコニコ動画に投稿

2007年12月「RPGツクールVX」

2005年1月「SPY」コウ(RPGツクール2000)※コンパク 月間プラチナ賞

2005年4月「シルフェイド幻想譚」SmokingWOLF(RPGツクール2000) ※コンパク 月間金賞

2005年8月「narcissu」ステージ☆なな ※2010年にPSP版も発売

2005年12月「ドラえもんのび太の BIOHAZARD」aaa(RPGツクール2000) ※2chラウンジ板のツクールスレにおいて初公開

2005年「雪道」ステッパーズ・ストップ

2005年「もしも勇者が最強だったら」作者不詳 (RPGツクール2000) ※VIPのツクールスレ発。もしもシリーズの第一作

2006年8月「Succubus Quest —サキュバスクエスト— 」SQDT(RPGツクールXP)

2006年「ずろうの棲処」チームやさぐれ  ※第1回ふりーむ!ゲームコンテスト最優秀賞

2006年「LA-MULANA」GR3 PROJECT

2006年「日記のネタがないときの逃げ道6」 Subrina ※第11回3分ゲーコンテスト優勝

2006年「人生オワタの大冒険」キング(Flash)

2007年4月「アカツキ電光戦記」SUBTLE STYLE ※アーケードで商業化

2007年6月「三十秒勇者」UUE ※後に「勇者30」としてコンシューマー化

2007年8月「elona」Noa

2007年8月「トラブル☆ウィッチーズ 〜アマルガムの娘たち〜」スタジオシエスタ ※2009年にアーケードで商業化、2011年にXbox 360版発売

2007年8月「魔王物語物語」てつ(RPGツクールXP) ※フリーゲーム大賞2008グランプリ作品。小説化

2007年8月「HellSinker」RUMINANT'S WHIMPER ※C72にて頒布

2007年9月「超電気ロボ バルカイザー」ASTRO PORT

2007年12月「しょぼんのアクション」ちく

2007年12月「ひまわり」ぶらんくのーと ※C73にて頒布。PSPで全年齢版発売

2007年12月「ルセッティア 〜アイテム屋さんのはじめ方~」EasyGameStation ※C73にて頒布。Steamで海外から高い評価を得てヒット

2007年「奇譚 イワナガ」Buster (現:蓮田 )(シューティングツクール95)  ※コンパクweb秋金賞

2007年「うみねこのなく頃に」07th Expansion(NScripter)

2008年1月「作品別Ultimateトーナメント」開催

2008年3月RPG作成ツール「WOLF RPGエディター」(SmokingWOLF)正式公開

2008年6月自作ゲームのコンテスト「コンテストパーク」(エンターブレイン)終了

2008年10「Android Market」(Google)開始 ※2012年に「Google Play」に名称変更

2008年12月「フリゲ2008 あなたが選ぶ今年のベストフリーゲーム」(赤松弥太郎)開催 ※その後、毎年開催される

2009年1月「Global Game Jam」(IGDA:国際ゲーム開発者協会)開催

2009年3月「アクションゲームツクール」スマイルブーム

2009年5月「青鬼」の実況動画を投稿(ボルゾイ企画) ※part1は500万再生

2009年5月「Minecraft」Mojang

2009年7月「ヴァーレントゥーガ」公開 ※ゲーム制作ツールとして大きな影響

2009年7月「Xbox LIVE Indie Games」開始

2009年9月「NScripter2」高橋直樹

2009年9月「WOLF RPGエディターコンテスト」(SmokingWOLF)開催

2008年2月「タオルケットをもう一度」かなしみホッチキス(RPGツクール2000) ※コンパク 月間銀賞。シリーズが小説化

2008年10「いりす症候群!」てつ

2008年12月「やる夫クエスト」ATELIER-C(Flash) ※紅白FLASH合戦2008

2008年12月「Ruina 廃都の物語」枯草章吉(RPGツクール2000)※フリーゲーム大賞2010大賞作品

2008年12月「BattleShellfish」Nussoft ※C79にて頒布。2009年に「NEO AQUARIUM -甲殻王-」に改題

2008年「いちろ少年忌憚」ねこふろしき(RPGツクール2000

2009年7月「ヴァンガードプリンセス」スゲノ トモアキ(2D格闘ツクール2ND.)

2009年7月「エッチな夏休み」高橋邦子(RPGツクールVX)

2009年8月「打撃戦艦アルテミス」circumflex ※C76で頒布。同時ターン制のシミュレーションゲーム

2009年12月「ヤタガラス4」PDW:HOTAPEN ※C77にて頒布

2009年12月「不思議の幻想郷」AQUASTYLE ※C77にて頒布。プロ声優を起用するなどの豪華な作りが話題を呼ぶ

2009年12月「リーサル・クライシス」大雪戦(AIMS)※C77にて頒布

2009年「青鬼」 noprops(RPGツクールXP) ※2014年7月AMG エンタテインメントから映画化、 2013年2月 PHP研究所から小説化

2009年「ヴァーレントゥーガ」ななあし ※第5回ふりーむ!ゲームコンテスト最優秀賞

2009年「魔界王伝」メガネ ※第1回WOLF RPGエディターコンテスト優勝作品

10年代:僕らの時代
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10年代:僕らの時代

00年代末から「インディーズゲーム」という言葉が使われる機会が増えてきた。これは近年「インディーゲーム」とも呼ばれており、パブリッシャーと契約を結ばない独立系の会社や個人の開発するゲームを指す。話題になった背景には、家庭用ゲーム機の開発費がさらに高騰した結果、大手の会社すらもリリースできるゲームの本数が少なくなってしまったことがある。その合間を埋める低価格帯のゲームが必要とされはじめたのだ。日本の同人ゲームからも、Steamで英語版が製作されて高い評価を受けるゲームが登場しはじめた。また、iPhoneの登場以降、スマホアプリの市場が急激に発達。個人が作ったアプリが莫大な収益を生むのが珍しくなくなった。ここに来て、商業は再び個人制作のゲームに近づきはじめている。

しかし、日本のネットでは、こうした流れとは別の動きも盛り上がっている。始まりは、2012年の「Ib」というホラーゲームの大ヒットだった。ニコニコ動画で人気のゲーム実況者・レトルトが実況したのをキッカケに、pixivでイラストが大量に投稿され、即売会でも大きな人気を博した。この頃から、ゲーム実況で人気が出た自作ゲームが、ダウンロードサイトのランキング上位を占める現象が繰り返される。その盛り上がりは、10代の女子中高生を中心にした新しい世代のオタクが生み出したものだ。この世代からは、「クロエのレクイエム」のブリキの時計のように、作り手として活躍する女性も登場しており、最近は男性や年長者にも人気が波及しはじめている。

また、10年代に入り、制作者向けツールも本格的に盛り上がりを見せている。企業が提供するUnityなどの本格的なゲームエンジン、「WOLF RPGエディター」のような個人開発のエディタを使う人は日ましに増えている。いまや老舗となったツクールも長年使い込まれた結果、RPGに限らず様々なゲームを作るノウハウが蓄積された。公開場所もコミケや同人ショップ、SteamやAppStoreど様々に広がってきた。もちろん、ふりーむ!などのダウンロードサイトを使えば、好きなタイミングで公開できる。ゲーム実況者には、ネットで新しい自作ゲームを日々発掘している人たちがいて、その動画が話題になれば何十万人もの目に触れる。今ほど、自作ゲームに理想的な環境が整った時代はない。

この年表は、そんな現状を踏まえて現在と過去をつなぐために、様々な関係者にヒヤリングしながら作成したものだ。だが、膨大な人間の営みの歴史を、この限られたスペースに収めることは不可能である。ぜひ来場者の皆さんに、思い出の一作を付せんで補完していただければと思う。

重要な出来事

2010年3月「RPGツクールDS」

2010年4月スウェーデンのゲーム実況者・ピューディパイ(PewDiePie)が初投稿 ※現在、世界一人気のユーチューバー。「青鬼」など日本の自作ゲームをプレイ

2010年9月「ニコゲー」(スパイク、現:スパイク・チュンソフト)開始

自作ゲームの公開日

2010年2月「学園ハンサム」チーム欲求腐満 ※OP動画は2009年からニコニコ動画で人気

2010年2月「iEscaper!」CELLNAVI

2010年8月「Gravity」ぽり0655(WOLF RPG エディター) ※第2回WOLF RPGエディターコンテスト優勝作品

2010年8月「幻想のアヴァタール」べにたぬき ※C79にて頒布

2010年8月「croixleur」souvenir circ. ※C78にて頒布。Steamで英語版リリース

2010年10「EFFY - one of unreasonable "if"」Project ICKX ※後にC82にて頒布

2010「Re:Kinder」ぱるん(RPGツクールVX)

2010「indigo」半端マニアソフト ※後にC84にて頒布

2010「らんだむダンジョン」はむすた(RPGツクールVX)※フリゲ2010グランプリ作品

2011年2月「PlayStationMobile」がサービス発表 ※2012年8月正式サービス。ユーザ作成のアプリ/ゲームを、Xperiaスマートフォン/タブレットなどや、PS Vitaへ配信

2011年4月「ニコゲー」(スパイク、現:スパイク・チュンソフト)閉鎖

2011年5月アクティブゲーミングメディアが「PLAYISM」開始

2011年12月「PlayStation Vita」(SCE)発売

2011年12月「RPGツクールVX Ace」

2011年7月「はーとふる彼氏 〜希望の学園と白い翼〜」玻都もあ ※C80にて頒布。 当初はFlashゲームで公開

2011年8月「RefRain~prism memories~」RebRank※C80にて頒布

2011年10「操」せん(WOLF RPG エディター)

2011年10「オニアソビ」睦涼(むつみりょう)(WOLF RPG エディター)

2011年12月「妖々剣戟夢想」あんかけスパ ※C81にて頒布

2011年「ふしぎの城のヘレン」さつ(RPGツクール2000

2011年「NOeSIS-嘘を吐いた記憶の物語-」cutlass(クラシックショコラ)(Nscripter) ※フリーゲーム大賞2011大賞作品、2013年に講談社から小説化

2011年「マッドプリンセス~ディオデラの野望~」あとらそふと (WOLF RPG エディター)※第3回WOLF RPGエディターコンテスト優勝作品

2012年2月「パズル&ドラゴンズ」(ガンホー)

2012年2月「Ib」kouri (RPGツクール2000

2012年5月「九十九神」ToRaIKI ※C83にて頒布。Steam英語版リリース

2012年5月「ぐんまのやぼう」Ruckygames

2012年7月「明美譚」粉粉粉粉粉

2012年8月「僕は森世界の神になる」神奈川電子技術研究所 ※C81にて頒布。PSMに移植

2012年9月「メゾン・ド・魔王」プチデポット

2012年10「魔女の家」 ふみー(RPGツクールVX)※2013年10月にエンターブレインから小説化

2012年12月「マッドファーザー」せん(WOLF RPG エディター)

2012年12月「日常侵食ホラー つぐのひ」ImCyan(RPGツクール2000

2012年12月「シロノノロイ」namahage2(RPGツクールVX)

2012年12月「ファタモルガーナの館」Novectacle※C83にて頒布

2012年「悠遠物語~空の大陸とアイテム屋さん~」らむらむ (WOLF RPG エディター) ※フリーゲーム大賞2012大賞。第4回WOLF RPGエディターコンテスト優勝作品

2012年「片道勇者」SmokingWOLF(WOLF RPG エディター)

2013年1月「ニコニコ自作ゲームフェス」(ドワンゴ)開始

2013年7月「妖怪ウォッチ」(レベルファイブ)

2013年9月「INDIE STREAM(インディーストリーム)」開催

2013年9月「インディーゲームフェス2013」

2013年11月「デジゲー博」開催

2013年11月「Xbox ONE」(マイクロソフト)発売

2013年1月「帽子世界」えぬ(RPGツクールVX)※フリゲ2013 あなたが選ぶ今年のベストフリーゲーム 1位

2013年3月「Margikarman」ゆうやけ

2013年3月「ゆけ!勇者」xHachiApps

2013年3月「感染性ナイトメア」yotabana(RPGツクールVX Ace)※第一回ニコニコ自作ゲームフェス大賞

2013年3月「TorqueL(トルクル)」なんも

2013年5月「デンシャ」小麦畑(WOLF RPG エディター)

2013年8月「マヂヤミ彼女」beArk

2013年8月「fault milestone one」ALICE IN DISSONANCE ※C83にて頒布。Steamで英語版リリース。ディレクターズ・カット版でクラウドファンディング

2013年9月「物念世界」りりはうす 

2013年10「クロエのレクイエム」ブリキの時計(RPGツクールVX) ※2014年11月小説化

2013年10「モンケン」モンケン

2013年11月「Alice mare」△○□×(みわ しいば) ※2014年1月にPHP研究所から小説化

2013年12月「アスタブリード」えーでるわいす ※C85にて頒布。 Steamで英語版リリース

2013年12月「revolver360 re actor」クロスイーグレット ※C85にて頒布。Steamで英語版リリース

2013年「霧雨が降る森」真田まこと(RPGツクールVX Ace) ※2014年9月にKADOKAWA/エンターブレインから小説化。2014年6月にKADOKAWA/メディアファクトリーからコミック化。2014年9月にフロンティアワークスからドラマCD化

2013年「帝国魔導院決闘科」早川 雪子(川崎部)(WOLF RPG エディター)※第5回WOLF RPGエディターコンテスト優勝作品

2014年2月「PlayStation 4」(SCE)発売

2014年3月ゲーム紹介サイト「もぐらゲームス」開始

2014年9月東京ゲームショウで「インディーゲームエリア2014」が盛況

2014年10「Project Spark」(マイクロソフト)配信開始 ※ゲーム内でゲームを自作できる

2014年12月メディアスケープが“Play,Doujin!"を開始 ※「東方Project」の二次創作ゲームのPlayStation移植を発表

2014年3月「アクションモグラ」クロボン ※ニコニコ自作ゲームフェス3で5つの賞を受賞

2014年5月「ケロブラスター」開発室Pixel

2014年7月「Hero and Daughter」tachi(RPGツクールVX Ace) ※ニコニコ自作ゲームフェス4大賞

2014年7月「RainyTower」標準誤差StR(WOLF RPG エディター)※第6回WOLF RPGエディターコンテスト優勝作品

2014年8月「真夜中の人形使い」ますかるぽーね

2014年8月「蜉蝣」鴨mile※C86にて頒布

2014年8月「ゆりかごのそら」NonLinear ※C86にて頒布

2014年9月「魔法の線陣」レゴ  ※ニコニコ自作ゲームフェス4浜村弘一賞

2014年10「コクラセ」galanti(RPGツクールVX Ace)※ニコニコ自作ゲームフェス4志倉千代丸賞

2014年「Death Forest」Kazz(Unity)※2014年にNSWから映画化