ニコニコ自作ゲームフェス

自作ゲームフェス2016に多くの御作品をご応募いただき、誠にありがとうございました。
自作ゲームフェス2016では、大賞にノミネートされた4作品より、ユーザー投票によって大賞を決定いたします。
普段より自作ゲームをプレイされている方も、普段は見るだけという方も
この機会にぜひゲームをプレイし、投票にご参加ください。

    ユーザー投票のルール
  • 最低2作品をプレイした上で、ページ下部「投票する」ボタンより、レビューを行ってください。
  • 最も面白いと思った作品を10点とし、点数をつけてください。
  • レビューの平均点のもっとも高かった作品を大賞とします。
  • 結果は、3月26~27日放送予定の長時間生放送内表彰式にて行います。

投票ページはこちら
投票〆切:3月27日(日)午前10時

1bitHeart
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作品概要

人と繋がり、心を繋げる友達作りADV 街で起きる事件を解決しながらクリアを目指そう! フルボイスではありませんが一部にボイスが利用されています。 中編程度で推理系寄りのシステム。

  • ジャンル:友達作りADV
  • プレイ環境:Windows
  • 推奨プレイ時間:一章30分~1時間程度(全四章構成)
選考理由

サイドビューで制作された推理系ADVゲームです。
特徴は、背景に至るまですべて書き下ろされたクールなイラストと、それで表現された「殆どのものがプログラムで制御され、管理されている」近未来的な世界観です。
作者は若い世代のユーザーに高い人気を誇るイラストレーター、△○□×(みわ しいば)さんです。ここ数年若年層の文化をドライブしてきたボーカロイドの影響を強く感じるものになっており、次世代感を感じます。

独特の世界観の中で展開されるストーリーは、友達のいない主人公が、友達を作りつつ、ついでに街の事件も解決していくというものです。そのストーリーが友達を作って彼らとのSNS上でのコミュニケーションをヒントに証拠を集める探索パートと「逆転裁判」を思わせる説得するパートに別れたゲームシステムを通じて表現されます。その組み合わせは非常に現代的で、嘘が主食のドラゴンの少女が主人公の前作「LiEat」でも感じさせた「コミュニケーション」にまつわるテーマを引き継ぐものと感じました。
様々なミニゲームなども、サービス精神が旺盛で素晴らしいと思います。
ただし、キャラクターの造形は多様で個性的ではあるもの、表層的な特徴だけでなく、内面描写についてはもう一叩き欲しかったと強く感じています。
また、最も大きな欠点としてはレベルデザイン(面白さの構成)やプレイアビリティ(操作の快適性)は十分な水準でないという声もありました。ゲームシステムも練り込みもテーマを表現しきっているとは言えない状況です。しかし、この問題は他者に声を受けてのよるデバッグ・改善を繰り返すことで解決できることも多いので、ゲームプレイを重視した試行錯誤をもう少ししてみることで、驚くほど面白いゲームになる可能性を秘めていると思います。

ニコニコ自作ゲームフェスでは自作ゲームの魅力の1つを「個人制作のゲームならではの尖った作家性」にあると考えています。たとえるならゴールデンタイムのテレビ番組ではなく、深夜放送の番組、いや深夜ラジオのようなものです。スマホまで見渡せば良作ゲームが毎日のように生まれるの世界で、既存の作品がどうにも心にピタっとハマらない世代がいます。深夜ラジオのようにそうした年代の心に深く刺さり、代えがたい思い出になるというのが、この時代に自作ゲームが果たすべき役割の1つではないでしょうか。

本作は、圧倒的な世界観と表現力で、ある特定の世代が持つテーマを、ゲームという形で伝えようとした強い意志を感じます。その将来性を理由に本作を推薦します。

スラッシュRPG一閃勇者
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作品概要

敵を真っ二つにスラッシュ!爽快アクションRPG。 メインストーリーにステータス成長、装備、ランダムイベント、スキル発動、スキル合成などなど、遊びごたえあり

  • ジャンル:アクションRPG
  • 動作環境:Android/iOS(iPhone5以降推奨)
  • 推奨プレイ時間:30分〜1時間(クリア後のエクストラモード、上級リーグ、キャラ成長、スキル収集のやり込みあり)
  • iOS版はこちら / Android版はこちら
選考理由

縦・横・ナナメと指で画面をなぞると一直線の敵にダメージを与えることができるローグ系アクションRPGです。スマホならでは操作と時間感覚を非常にうまくゲームに落とし込んであり、サクサクととてもゲームらしくプレイできます。作者は前作『BUGGG』で非常に高い技術力と発想力を示し、『PS Loves indies賞』を受賞したリビルドゲームスさんです。

ゲームを考えるときに、自作ゲームフェス運営は「ゲームデザイン(仕組み)」「フレーバー(設定)」「レベルデザイン(中身)」という点に切り分けて注目しています。放置ゲームジャンルを産んだ名作『Cookie Clicker』でいえば、ゲームデザインは放置ゲームという仕組みそのもの、フレーバーはクッキーを増やすという設定、レベルデザインは購入するアイテムや数値の向上など面白さの中身です。本作はこの3要素がどれも高く融合していました。

ゲームデザインの面では、自作ゲームで支持される定番の「ハックスラッシュ感」が気持ちよくスマホ化されています。毎回リセットされる「ローグ感」も飽きない繰り返しプレイの基礎となっています。
フレーバーはファミコン世代向けながらもスタイリッシュな3Dドット。『BUGGG』ではマップごとに2Dだったドット絵が3Dに起き上がるなどの処理がユニークでしたが、本作もそうした2Dのドット絵の再解釈が存分にいかされています。
レベルデザインという面では、実況などに向いた「ランダムイベント」、そして丁寧に調整されたゲームバランスが優れています。ストーリーの進めかたがとても自然で、レトロRPGを思わせるテイストが上手く現代化されており、冒険感があります。

レトロゲームの面白さを咀嚼し、スマートフォンという新しい器にの最適な形で盛り付けた職人芸を強く評価します。そしてそのプレイ体験の総合点の高さで、本作を推薦します。

言霊の迷宮
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作品概要

好きな言葉を入力しながらダンジョンを探索するゲーム。入力した言葉の文字数に応じて移動できるというのが基本的なルールです。 75万語くらいの言葉を収録しています。

  • 動作環境:PC・ブラウザ(Firefox推奨)
  • 推奨プレイ時間:5分~
  • ブラウザ版はこちら
選考理由

文字を入力し移動するというシンプルなデザインの探索ゲームです。誰でもわかるゲーム性と、いざプレイすると訪れるもどかしさのバランスが絶妙です。

本作の作者「フォルテ」さんは、ニコニコ自作ゲームフェスで「ベンゼン誘導体コレクション」や「256F」等、いくつもの受賞作をもつ常連投稿者です。どの作品もエンジニア的な鋭い切り口を活かして、独自の世界を作っていることが特徴です。本作も自然言語処理に使われるコーパス(辞書)を活用した新しい作品になっています。

これまでネットでは「診断メーカー」や「マインクラフト」のように多様な遊びができるツール的なゲームが流行ってきました。ニコニコ自作ゲームフェスとしてはこうしたネット的ゲームに大きな可能性を感じており、「SANXEN WORLD」「イライラカメラ」「運べ!荷物」等、遊びがユーザー次第で自由に広がるゲームを推薦してきました。本作もその流れにあります。

「言霊の迷宮」の一人プレイは、それこそ辞書を片手にダンジョンをさまよい、自分自身の単語能力を増やしていく地味ながらも新しいプレイ感のあるゲームです。このゲームの真価は複数プレイにあります。生放送や動画、イベントなどのプレイシーンを想定してみましょう。複数プレイでは、一人のプレイを回りがのぞき込むことになるでしょう。単語が入力されるたびに、その言葉にツッコミが入ります。ちょっとエッチな単語をいれれば盛り上がりますし、進むたびにプレイヤーの脳内があきらかになっていきます。つまったら、視聴者や共演者がコメントで手助けできます。物足りなければ縛りプレイもすぐできます。複数プレイの面白さはプレイヤーの個性が出ることです。本ゲームは「誰と遊ぶか」でまったく違う面白さがうまれるはずです。

実は、こうした言葉遊び系のゲームはアナログの世界で1つのジャンルとなっており、「ワードバスケット」「スクラブル」といったゲームが長く遊ばれています。本作はアナログの面白さにデジタルならではの言語データベースによる判定を加えた、と言ってもいいかもしれません。

インターネットの環境を前提とした新しいデジタルゲームのあり方を最も深く考えたゲームとして、本作を推薦します。

ファウストの悪夢 - Fausts Alptraum
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作品概要

イリザベス・ファウストは父の葬式に出た。 彼は未練と悲しみ、そして古びた家を残した。 あくびしながらも彼女は屋敷に入り、黒猫の尻を追いかけて地下室に降りた。 「もし君がここで過ごした時間を、たとえ一秒でも名残惜しく思ったら… あるいは『この素敵な一時が、この瞬間が止まったらいいのに』などと言ったら、 それは君の負けです。」 彼女は燭台を手にし、悪夢の出口を探し始める。

  • ジャンル:ミステリー謎解き
  • 動作環境:Windows
選考理由

どこか童話的でダークな世界観で展開される、「ib」「魔女の家」などに代表される探索型ホラーADVです。

本作の作者は台湾にお住まいで、台湾の言語で作られています。日本語に翻訳されてこのコンテストに応募されてきました。

主人公はイリザベスという少女。残された屋敷を探索していたらメフィストフェレスと名乗る謎の男が現れ、そして何故かドアが消えて家に閉じ込められる。そのため彼女は脱出のために不気味な屋敷を探索していく……。そんなストーリーを進めていくと、まず「メフィストフェレス」などのキャラクターが大変クオリティの高く描かれたゴシックなイラストなどのアートワークがやはり最初に目を引きます。謎解きも、「探索形ホラー」というジャンルの中ではとても優れたものであり、作者のこのジャンルへの理解の高さを伺わせます。

アニメに「ファンサブ」というカルチャーがあります。海外のアニメファンが日本のアニメを翻訳し、字幕をつける、という文化です。著作権的な問題が多々含みながらも、海外でのユーザーを広げる役割をもっていました。最近ではファンサブコミュニティを正式にアニメ販売元が認める動きもあります。自作ゲームの分野でも同様に、ファンサブ的に翻訳され、多くの作品が海外で愛されてきました。そうしたなか、日本的な感性は海外でもはぐくまれています。画像投稿サイトpixivを見ると、日本的な関係性萌え文化のど真ん中のイラストが、中国語圏の作者によって投稿されており、驚きます。本作はそうした海外で育った日本的カルチャーの「輸入」作品です。

本作は素晴らしいアートワークをもった作品です。それが故に、先行作品との決定的な差別化要因が欲しかったと思ってしまいます。キャラクターの描写をもう少し深めて欲しかったという声も選考中に出ました。もっと謎を解くなどのゲームならではのギミックを経験することそのものでキャラクターの魅力を増大させる工夫ができたのではないかと思います。例えば、謎解きの一つに着替えるシーンがあるのですが、その際主人公のキャラドットも変更されたシーンには大変に心が動きました。こうした細やかな演出がより広がることで、謎解きという「ゲーム要素」と「キャラクター性」がより深く絡んでいくことでしょう。その他ネズミの数等レベルデザイン面で改善すべき点はいくつかありますが、全体のクオリティは素晴らしいものです。

台湾でも大人気と、台湾出身の友人にも聞きました。J-RPGから生まれ、フリーゲームで育った感覚が、海を超えて共有されることにとても喜びを感じるとともに、自作ゲームの文化が海を超えて切磋琢磨されることで、より新しいゲームの可能性が開かれると、心から信じます。
総合的な探索ADVとしてのクオリティと、独特のアートワーク、加えて海を超えたゲーム文化の発展が生まれる可能性を評価して本作を推薦します。

投票する
運営より

ニコニコ自作ゲームフェスでは以下のように審査を行っています。
毎回審査の力点をずらしていますが、仕組みそのものはおおむね同一です。
今回ユーザー投票を行うにあたり、現状の審査方法を共有します。

まず、下読み担当者が動画を見て、プレイします。全作品の一覧になった審査シートを作成します。A~Dまでの評価をつけ、気になったものはコメントを書きます。
Aは大賞候補、Bは敢闘賞候補、Cはそれ以外、Dは何らかの理由によりプレイがほぼ不可能というものです。
このとき、1作品につき2名は見るようにします。また、B以上が重要なため、Bに漏れがないように会議を行って拾い上げをします。 審査時間の短縮になるため投稿動画や実況動画は参考にしますが、動画再生数や実況数は評価に加味しません。

協賛企業様には審査シートを渡し、自由に選考していただきます。全作品をプレイされる企業様もいらっしゃいますし、A~Bを中心にご覧になる企業もいらっしゃいます。

大賞候補は会議によりAのなかから選考します。「面白さ、独創性、熱意、二次創作の盛り上がり、長期的な伸びしろ」を重視します。 この審査基準から解るとおり、欠点のない良作よりも尖った作品を強く重視しています。特にインターネットらしい独創性に力点をおいています。 敢闘賞はBのなかから、長所のみを見て、選考します。

大賞の選考方法は、毎回試行錯誤をしています。自作ゲームフェスは大賞を狙うコンテストではなく、投稿者や視聴者、二次創作者が自作ゲームを楽しむお祭りであってほしいとおもっています。大賞だけに注目が集まり、他がないがしろにされては本意に反します。とはいえ「大賞」は面白いものです。4回、5回ではクリエイターのかたに選んでいただきましたが、2016ではユーザー投票という形をとります。大賞の審査そのものには事務局は関与しません。

こうした仕組みをとっているのは以下の理由です。

  • 特定の視点にかたよらないで、多くの作品の良さを伝えたい(多様な審査者による企業賞)
  • 自作ゲームフェスへの参加そのものが次の作品に繋がるようにしたい(企業賞、長時間放送)
  • ゲーム制作のノウハウを蓄積したい(著名クリエイターのレビューや、各作品へのコメント)

自作ゲームフェスが多くの自作ゲーム作者・ファンのかたのお役にたてるようになれることを願っております。

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