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vol.5 親不知子不知 北陸本線

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皆さんが寝ている間も列車は一路、上野へ向かってひた走ります。
泊という駅を23:57に通過すると列車は何本ものトンネルを通ります。この辺りは親不知(おやしらず)子不知(こしらず)という変わった名前の名勝地です。別に奥歯に関係しているという訳ではなく、この辺りは北アルプスが日本海に落ち込んでいる突端で、とても地形の険しいところなんです。今でこそ、こうやって寝台車にゆっくり横になって(中には眠ったままの人も)トンネルでサッと通過してしまいますが、その昔は道を作ることも儘ならず、崖っぷちの海岸沿いを波が引いた隙に走って通り抜けるという北陸道随一の難所だったのです。親は子のことをかまっていられず、子は親のことをかまっていられない、という訳で『親不知子不知(おやしらずこしらず)』と呼ばれていたのですね。
鉄道でも難所中の難所で、今は廃線になってしまった旧北陸本線は今走っているところよりずっと海岸に近い崖を何本ものトンネルを掘って通過していました。自動車でしか行けないですが、親不知の国道8号線沿いのドライブインから海岸に下りる遊歩道があって、そこを下ってゆくと途中に旧線後が谷の両側にぽっかりと口を空けた廃トンネルと共に見ることができます。

ふと目覚めると、列車が停まっています。直江津0:48。運転停車ですね。ここからはJR東日本になります。
ホームには安全を見守ってくれている駅員さんの他はもちろん人っ子一人いなく、シーンと静まりかえっています(ひょっとすると鉄道ファンがウロウロしているかも…笑)。こういうのも夜行列車の醍醐味ですね。寝台車に乗っていると(どこでも爆睡出来る人は別ですが)何故だか列車が停まると目が覚めてしまいます。走っていて適当に揺れている方が眠れるのが不思議です。大人になっても眠るにはゆりかごが良いのかも。

vol.6 こんばんは日本海 信越本線

Photo6

1:09、列車はゆっくりスルスルと動き出します。先頭の方の車両に乗っている方は「ピーッ」という旅情を誘う電気機関車のホイッスルが聞こえるかもしれません。ここで北陸本線が終わり信越本線に入ります。

やっぱり眠れないなー、という人は左車窓を見てみましょう。カーテンを被るようにして眺めると、トンネルとトンネルの狭間に、建物と建物の間に、日本海を眺められるかも知れません。晴れて満月が出ていると海に月の道が出来ているのが見られるのですが、この日は月齢は7くらい。半月に満たない月で、この時間は既に日本海のかなたに没しています。その代わり満天の星空が見えるかもしれません。地上は暗いので寝台車からの眺めは荘厳ですよ。過ぎ去る暗い景色の中で、見慣れた星座が、天の川が、ニコニコ超会議号と旅を共にしているようにどこまでもついてきてくれるようです。

そうこうするうちに青海川駅を通過(1:35予定)。この駅はプラットホームの直ぐ脇がもう日本海で「日本一海に近い駅」と言われています(このほかにもいくつかあるんですけどね)。トンネルとトンネルの間にあるので、注意してご覧になってください。

青海川を過ぎると、ずっと傍らにあった日本海に別れを告げ、列車は内陸部へ。次の運転停車は長岡です。この間で全てダイヤ通りに運行していれば、季節列車となったブルートレイン、特急日本海大阪行きとどこかですれ違いますよ。

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